ガーデン王国3「三景の妖精と五つ星」

 この物語は、ガーデン王国と呼ばれるバーチャル(仮想世界)で起きたフィクション(作り話)を書いている。ガーデン王国には、色々な国王や姫の他に、レオル・ファティルと呼ばれる白い妖精やジョイル・ビルと呼ばれる黒い妖精などもいた。


 ある日、国王は、レオル・ファティルと呼ばれる白い妖精を愛でる王子を連れ、「ガーデン王国の三景」と呼ばれる景勝地へ出かけた。この景勝地には、「智恵をつかさどる神をまつる宮殿」があった。この宮殿は、目の前に運河が流れており、それぞれの部屋から運河の水辺に出ることが出来た。


 国王は、部屋の庭越しに見える運河の風景も好きであったが、廊下にひかれた何気ない畳を歩きながら、地窓を通して足下の庭が見えるのが好きであった。そして、国王は、王子に智恵をつかさどる神がやって来る運河を見せると共に、誕生日を迎える王子を祝いたかったのである。


 国王と王子は、この宮殿に到着すると、海へとのびる砂浜を散策した後、智恵をつかさどる神がまつられている社へと向かったのであった。その間には、色々なものがあった。王子が、興味を示しても良さそうなものが、色々あったはずである。しかし、王子が1番興味を示したのは、智恵をつかさどる神をまつる社にいた妖精たちであった。


 その妖精は、王子が毎日可愛がっていたレオル・ファティルとそっくりな姿をしていた。王子が立ち止まり、その妖精に近づいていく、どこからか、どこにいたのか、たくさんの妖精が集まってきた。王子は、日暮れが近づき時間がない中、そんなことは微塵も気にしないで、妖精とたわむれていた。


 国王は、その光景を、意外に思い、不思議に思い、微笑ましく思い、眺めていた。王子にとっては、「ガーデン王国の三景」と呼ばれる素晴らしい景色、そこにしかない珍しい物、宮殿で始まろうとしている晩餐、そんな特別なものではなく、王宮に帰ればいつでも出来る妖精との交わりに夢中であったのである。


 年月を重ね智恵を身につけてきた国王が、智恵をつさかどる神の社で、後先の事や特別な事を気にしない王子の純粋な姿に、心を打たれひかれていったのであった。国王が身につけてきたと思った智恵とは、いったい何だったのであろうか、何の意味があるのであろうか。


 そんなことを考えている時、突然、国王の下に「空飛ぶ手紙」が届いた。急用が入り、予定を1日早め、翌日には自らの王宮へ帰らなくてはいけなくなった。明朝、「智恵をつかさどる宮殿」でゆっくりしてる時間はなかったが、国王と王子は、宮殿の前の運河を散策した。王子は、きまって国王の前をどんどん歩いていく。王子は、突然、しゃがみ込み何かを見つ、木の枝でつっつき始めた。


 国王は追いつき横からのぞきこむと、王子がつっついていたのは、運河から打ち上げられた「五つ星」であった。この運河は、智恵をつかさどる神が移動する時、大きな波が発生する。その時に、運河の中にいた「五つ星」が打ち上げられるのであった。「五つ星」は、干上がり綺麗な姿ではなかったにも関わらず、王子は、木の枝で運河の中に戻してあげていたのである。目の前に広がる絶景 早く出立しなければならない状況、そんなことを気にしないで、国王と王子は、干上がり可哀想な姿になった「五つ星」を運河に戻していた。


 国王は、「ガーデン王国の三景」や「智恵をつかさどる宮殿」に来た証を、誕生日を迎える王子へ渡したいと思っていた。しかし、国王は、何もしてあげられず、逆に、王子から人として大切なものをたくさんもらったのであった。


 その後、国王と王子は、急いで「智恵をつかさどる神をまつる宮殿」に戻り、出立することにした。出発する直前に宮殿を管理している女官から、「橋にかける輪」のお守りをもらった。これを橋にかけておくと、神のおかごがあるらしい。それ以来、ガーデン王国の橋には、このお守りがかけられているらしい。。。

関西の歴史散歩

①NHKの「ブラタモリ」の様に、奈良・京都・大阪・神戸にある国宝・古墳・神社・寺院・仏像・伝統行事・『万葉集』で詠まれた場所などを案内します。 ②歴史に関するブログ・動画・ゲームやお勧めのサイト・情報などを紹介します。

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