ガーデン王国1「虫愛ずる姫」
この物語は、ガーデン王国と呼ばれるバーチャル(仮想世界)で起きたフィクション(作り話)を書いている。ガーデン王国には、国王や姫の他に、レオル・ファティルと呼ばれる白い妖精やジョイル・ビルと呼ばれる黒い妖精などをあやつる少女がいた。
国王と姫は、別々の国で暮らしていた。姫は、毎晩、「空飛ぶ手紙」を国王の所へ送っていた。その空飛ぶ手紙は、不思議なことに、いつも国王がシャワーを浴び終わった頃に届くのであった。国王は、いつしか姫からの空飛ぶ手紙を楽しみにするようになった。
空飛ぶ手紙には、姫にとっては日常の些細なことが書かれていた。しかし、国王は、その平凡な内容に心の琴線をくすぐられ、揺れ動くことがなくなっていた心が、少しずつ満たされていくことを感じていた。
ある夏の夜、いつものように姫から1枚の空飛ぶ手紙が届いた。その手紙には、1枚の写真が入っていた。それは、メスのカブトムシが何か液体を飲んでるものであった。どうやら、姫が夜の帰り道に道ばたで弱っていたカブトムシを見つけ、宮殿に持ち帰り砂糖水を与えていたらしい。。。
国王は、姫が、その様なことして、わざわざ写真を撮って空飛ぶ手紙で送ってくることに、意外性と衝動性を感じずにはいられなかった。国王は、その様な行動をとれる姫を愛おしいと思った。
とある日本という国には、「虫めずる姫君」という物語がある。これは、平安時代後期以降に記された『堤中納言物語』の中に出てくる。国王は、虫めずる姫君がガーデン王国の中にもいたことにビックリしたのであった。宮崎駿『風の谷のナウシカ』のヒロインであるナウシカは、この虫めずる姫君から着想を得ていると言われている。
ガーデン王国の姫にめでられたカブトムシは、元気を取り戻した後、宮殿近くの木にもどされたそうだ。。。カブトムシは、姫にめでられといううらやましい経験をし、その後どうなったのであろうか。。。
0コメント