ガーデン王国2「国王のテーマ曲」
この物語は、ガーデン王国と呼ばれるバーチャル(仮想世界)で起きたフィクション(作り話)を書いている。ガーデン王国には、色々な国王や姫の他に、レオル・ファティルと呼ばれる白い妖精やジョイル・ビルと呼ばれる黒い妖精などもいた。
国王は、王宮で鷹(タカ)を大切に飼っていた。タカは、次第に国王の心が分かるようになっていた。そして、まるで国王の分身のようになっていった。しかし、国王は、タカがそのような存在になっていたことに気づいてなかった。
ある日、国王は、タカを連れて、レオル・ファティルと呼ばれる白い妖精をあやつる少女とガーデン王国にある「魚の宮殿」へ行った。少女は魚が大好きであったので、国王は少女が魚を見てさぞかし喜ぶであろうと思っていた。しかし、少女は、思いのほか楽しそうでなかった。少女の心の中は、どうであったのか分からないが、少なくとも国王には、そのように思えた。。。。
魚の宮殿から王宮へ帰ろうとした時、少女はとつぜん国王に「国王のテーマ曲を見つけた」と得意げに言ってきた。その曲は、とある日本という国で作られた「テルーの唄」であった。国王は、その曲を知らなかったが、王宮へ帰るとすぐにその曲を聴いてみた。
とても「悲しげ」で「孤独」で切ない曲であった。どうしてそのような曲が、自分のテーマ曲なのか。。。国王にとっては、とても意外であった。しかし、少女は、国王が飼っているタカが飛んでいる姿を見て、国王の心の中を感じ取っていたのかもしれない。そして、国王の未来も感じ取っていたのかもしれない。
テルーの唄は、国王にとって自らのテーマ曲とするには寂しい曲であり、にわかには認められなかった。しかし、不思議な力を持つ少女の目に映る「自らの姿」が、テルーの唄で歌われている「鷹の姿」に見えたことに、何か心が動かされたのであった。少女の大好きな魚の宮殿で、突然そんなテーマ曲のことを話題にする少女を愛おしいとすら思った。
実はその頃、国王は強がっていたが、誰にも話していなかったが。。。。ジョイル・ビルと呼ばれる「黒い妖精」をあやつる少女に姿を変えた姫に悩まされ、「無限の荒野」に飲み込まれようとしていた。「黒い妖精」や「無限の荒野」と孤独に戦っていたのであった。魚の宮殿に同行した「白い妖精」をあやつる少女には、国王のそのような姿が見えたのであろうか。。。
魚の宮殿から帰った数年後、国王は、「白い妖精」の力をかりて「黒い妖精」との接し方を学んでいった。しかし、「無限の荒野」には、とうとう飲み込まれてしまった。国王の心は狭く荒んでいった。国王の分身であった鷹は、夕やみせまる雲の上へ飛び立ち、白い妖精をあやつる少女の所へ行き、するどいクチバシで少女の心の中を深く深く傷つけたのであった。少女は、その痛みを押し殺しながら、鷹の頭をゆっくりとなでていたが、とうとう息も途絶えてしまった。
国王は、雨降る岩陰に小さく咲いてる花を愛で、虫のささやく草原を一緒に歩んだ少女を失ってしまったのであった。国王は、「魚の宮殿を訪れた頃」「少女を傷つけて失った今」を思いながら、意外と感じた自らのテーマ曲が正しかったことを感じるのであった。それを予見していた白い妖精をあやつる少女は、国王にとって。。。。
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